GOLDEN NIGHTの歌詞分析をやってみた
今回のエントリのテーマはズバリ、「GOLDEN NIGHTの歌詞分析をやってみよう」です。
先日、最近好きなジャニーズWESTの「Criminal」という曲を書いた作詞家さんご本人が、歌詞分析をされている動画を見つけました。
【Criminal - ジャニーズWEST】作詞した本人が歌詞分析、制作秘話【Travis Japan】
これすごいよ。ファンだったらめちゃくちゃ興味深い解説です。この曲だけじゃなくて他のアーティストの曲の分析動画もアップされているので、気になる方はぜひ。
わたしがこのブログで主に書いているのは歌詞の解釈、つまり歌詞の内容について考察したり読み解いていくことが中心ですが、この動画の“歌詞分析”とは単語のチョイスや耳触りの良さといったテクニックのことを中心に語られています。
長い間GOLDEN NIGHTのことを考えてきたつもりですが、今までそんな見方をしたことがなかったな〜…と。この動画を見て、プロの方はそんな分析の仕方をするのかと勉強になりました。
「じゃあGOLDEN NIGHTをこの動画のように“歌詞分析”してみると、何か新しい発見があったりするのかな?」と気になったので、今回はGOLDEN NIGHTの歌詞分析をやってみようのエントリになります。ドンドンパフ〜!
さて、zoppさんの動画を参考に、歌詞分析のポイントとしてGOLDEN NIGHTに関わりのありそうな項目は次のようなものです。
- 韻を踏む
- 繰り返し
- 比喩(擬人法、擬物法)
- 特殊な主人公像、環境設定
※zoppさんの動画より項目を一部引用
こういった項目を意識してつくった歌詞にすると、耳触りが良かったり、聴き疲れにくかったり、歌詞からイメージしやすくなるそうです。「なんとなく聞いていたい」とか「なんとなく好き」を紐解いていくと、こういうテクニックが散りばめられているかもしれないということです。
歌詞分析 ①韻を踏む ②繰り返し
まず「①韻を踏む」「②繰り返し」が歌詞の中にどれくらいあるのかを見ていきます。やってみたら予想以上に多かったので、分けて見ていきますね。
1A〜1B
表の見方は左が歌詞、同じ歌詞群の中に対応する韻や繰り返しワードがあれば1〜8に順番に母音を入れていきます。
1A(1番Aメロ)は韻も繰り返しもなしなので真っ白です。かと思いきや、1Bから鬼の韻ラッシュ。1Bは韻が3つ、ほぼeとaを使っています。
「ってたんだね」で「ん」を抜くと4つ同じ母音で韻を踏んでいますが、この韻を踏んでいる文字数が多ければ多いほど耳に残りやすいらしい。たしかにここ、なんとなく歌いやすい気もする。
1C
1Cは「愛しい」「ほどに」「救い」ですべてiの韻。あと「苦しめて」「委ねて」でeeで韻を踏んでいるのと、「全て」も同じくくりに数えていいのかなと思います。
1サビ
「Golden Night,Golden Flight」は英語の語尾「〜イト」が韻になっています。前半はタイトルにもなっている言葉で、これから繰り返し同じ言葉がよく出てくるところも印象に残りやすいんだろうな。「Everytime,Everynight」はタイムとナイトの最初の文字にaiの韻が踏まれています。
青字で表記している「世界へ」と「運命」は同じ母音ではないけどieとeiで逆さなんですよね。ここも個人的には耳触りがいいなと思っているんですが、テクニック的にはどういう効果があるのか分からないので青字にしました…。
あとは、繰り返しで「ゆこう」と「〜ないで」が使われています。
これはちょっと微妙かもしれませんが、「逃げないで」と「again」のeaiがニアピン…?
2A〜2B
1番と同じくAメロにはあまり韻も繰り返しもない模様。頭から同じ字数分とってくると「ねだり」にあたる部分が「じゃない」にあたるので、ここでaiの韻が踏まれてるくらいですかね。
2Bの繰り返しは2行目の「なんだって(できるよ)」に合わせたのかな?「分かってるんだって」の方は別に「だって」がなくても通じる言葉なので、耳に残るようにする技で入れられたのかも?(真相は不明、憶測です。)
でもこの「分かってるんだって」にすることによって喋り言葉になるから、余計な語尾をつけることで逆に人間臭さが増す感じが良いよね。個人的にこの「分かってるんだって」大好きです。
間奏
ここ、今まであんまり意識して聞いてなかったんですが、語尾が同じ単語の繰り返しになってるのおもしろいですよね。「you」と「down」が交互に繰り返されています。
そして間に挟まっている「GOLDEN NIGHT」はタイトル。
2C
2Cは1Cと同じ構成なので、解説は割愛。
大サビ〜ラスト
ここまでと同じように韻と繰り返しを洗い出しました。
1サビで「落ちてゆこう 一緒にゆこう」だったところは「迷い込もう 一緒にゆこう」になったので、ouで韻を踏んでいます。
あとagainにかかっている部分は「逃げないで」から「抱き合って」に言葉が変わっていますが、その直前に「Love again」という歌詞が入っているので、ここと対になりそうです。
ここまでが韻を踏んでいる箇所と、繰り返しの言葉が入っている箇所の歌詞分析でした。まだ続きます。
歌詞分析 ③比喩
擬人法、擬物法といった比喩表現が入っている場合、それがうまく作用すると印象に残りやすかったり、聞き手の想像力を掻き立てることができたりします。ちなみに、宮野さんのバラード曲は比喩がめちゃくちゃ多い。
ですが、GOLDEN NIGHTは他の曲に比べると少ない気がします。
「離れられない運命」
「電光石火の恋に落ちて」
「2人だけの世界へ落ちてゆこう」
「2人だけの世界へ迷い込もう」
「2人だけの未来へ飛んでゆこう」
ぱっと見る限り目立つのはこれくらいじゃないですか?他の曲だともっと顕著に比喩表現が使われていますよね。
Criminalの歌詞解説で話されていたのですが、アップテンポな曲は歌詞に引っかかって考えさせてしまうと、聞き手の思考を置いてきぼりにしてしまうリスクもあるとのこと。そういう場合は、比喩表現を使いすぎるよりも脳裏にぱっと思い浮かぶ情景描写をメインにした歌詞の方が良い場合もあるそうです。GOLDEN NIGHTはCriminalとテンポが同じなので、これにあてはまると考えて良さそう。
歌詞分析 ④特殊な主人公像、環境設定
Criminalの場合は曲の主人公像に「良く言えばストーカー、悪く言えばサイコパス」という裏設定があるそうですが、わたしが知る限りGOLDEN NIGHTは公式なライナーノーツがないのでここは想像するしかないです。
曲の持つ“余白”の膨らませ方によっては、人によって全然違う曲の受け取り方になります。わたしが過去に「歌詞解釈」として書いてきた内容はこの部分にあたりますね。
GOLDEN NIGHTに対する解釈としては、個人的には上記のエントリに書いた解釈がいちばんしっくりきているのですが、今回はそれにプラスαで少し追記します。
GOLDEN NIGHTの歌詞を改めて読み直したときに、歌詞に入っている単語の多くが後ろ向きというか、否定形やネガティブな単語が多いなと思いまして。
赤字が否定形。青字が後ろ向きだったりネガティブな単語。「Why don't〜?」とかは英文法上のものだったりしますが、 全体的に暗い印象に引きずられます。
でも最後の方を見てください、緑字の「未来へ」「抱き合って」のところ。「未来」という単語は前向きに感じるし、「抱き合って」は今までの追いかけているイメージから対等に向き合ったような印象になります。
ここがうまいな〜〜〜って思います。光が差したように感じるから。視界が開けたような感覚になりませんか?
この開けた感覚が良い方向になのか、Criminalみたくヤバイ方向になのかはご想像にお任せという感じですが……。
あと、もうひとつ気付いたこととしては、「愛」はあっても「恋」や「好き」は歌詞に入っていないということですね。「恋」はド頭に出てきてからは姿を消します。わたしは過去の歌詞解釈エントリで、「GOLDEN NIGHTは報われない恋の歌だと解釈している」と書いたことがあるのですが、恋……とはちょっと違うのかもしれないな、と今回思いまして。
相手に対する執着にも似た感情は、とっくに恋と呼べる段階を超えてしまっていたのか?それとも「恋」という感情を育ててはいけないような仲柄の相手に執着してしまったのか?
そんなことを考えて、う〜ん「報われない恋の歌」とは安易に言えなくなってしまったなあと思ったのでした。ここまで色々歌詞解釈してきたのに、歌詞分析した結果それがひっくり返されそうになってるのやばくないか?自分で自分の首絞めた。でもこうやって“曲の余白”を楽しめるから考えるのをやめられない。GOLDEN NIGHTは沼。
ということで、GOLDEN NIGHTの歌詞分析でした。こうして改めて見ていくと、あえてそう書かれていると思えるワードチョイスだったり、今まで気付かなかったテクニックが散りばめられていたことを知れておもしろかったです!
ひょっとしたら所々間違ってるかもですが!素人なので大目に見てもらえると助かります、てへ。
ここまでお読みいただきありがとうございました。GOLDEN NIGHTをご存知ない方がもしいらっしゃったら、各配信サイトのサブスクでも聞けるので、お時間があればぜひ聞いてみてくださいね〜(ちゃっかり宣伝)