GOLDEN NIGHTが好きすぎてつらい

GOLDEN NIGHTが好きすぎてつらい

宮野真守さんのGOLDEN NIGHT推し

好きなボカロ曲の話

最近、ふと数年前によく聴いていた曲を聴き直したくなる気分になるときがあります。その数年前とは、わたしにとってボーカロイド(以下、ボカロ)の世界が主軸だった頃のことを指すのですが、自分が本当に惚れ込んだ曲というのは何年経っても色褪せないままだとじわじわ実感しています。

ボカロが世に広く知られるようになって、コンテンツとしての盛り上がりが右肩上がりだった頃を所謂“ボカロ全盛期”と呼ぶのであれば、わたしはおそらくちょうどその頃にコンテンツを夢中になって消費していた人間です。

ボカロの世界でわたしが特に感じていた魅力は、同じボーカロイドというツールを使っているのに、作り手によって個性が強く出るところでした。なにかのインタビュー記事でも見たことがあるのですが、あの世界はボーカルではなくクリエイターが表に立てる音楽という新しい価値観を確立したコンテンツです。音楽ってボーカルが持つ力がものすごく強い。そこにボーカロイドという人間ではないものを立たせることによって、人間だけで構成される音楽では比較的裏方にあたる役割が、ボカロ音楽の世界では表に立てる。もちろん最初は聴き慣れない機械音に拒否反応が出る人も多いと思いますが、そこが気にならなくなってくると、純粋に曲として自分の好きな音楽の傾向が知れるコンテンツなんじゃないかと思います。自分はどんな音楽が好きなんだろう、と自分を知っていける気もしていました。

そして、当時からなにかを「つくること」に憧れを持っていた人間としては、プロでなくても動画や音楽がつくれるということに希望をもらったコンテンツでもあります。同じボーカロイドを使っていても作り手によって千差万別な表現があって、ひとつのものからこんなにも際限なく個性が出せるのだという可能性。そして、そこから生まれる「歌ってみた」「踊ってみた」「演奏してみた」など、誰しもが次の新しい表現をつくることに対して比較的敷居が低いところが好きでした。普通のアーティストだと、その曲にそのボーカルの声が乗ることでそれが完成系とされてしまうところを、ボーカロイドはその歌声が人間でないゆえに、誰もが原曲に敬意を持ちながら自分なりの表現をつくることに寛大なコンテンツだったように思います。

「ネットで聴けるのに、わざわざCDを買うこと」の良さもここで教わりました。わたしも当時は貧乏学生だったし、ネットで曲の最初から最後まで聴けるし……という気持ちも分かる。でもあの世界では曲を丸ごと1曲ネットで聴けるからこそ、形として手元に残ることにすごく意味ができるとわたしは思っています。CDを買ったって曲の続きがあるわけじゃないし、物によってはアルバム丸ごとネットで全部聴けるなんてものもあるけど、それを手元に置くことをわざわざ自分で選ぶんです。手が伸びる時点で、自覚はなくても他に比べて相当特別だしその曲のことが好きなんだと思う。あとは単純に好きな曲は圧縮されまくった音質じゃなくて、その作り手さんがCDに残すのに認めた音質で聴きたいじゃないですか。わたしは聴きたい。今はそうすることで少しでも作り手さんにお金が入ればいいなあと思うけれど、この頃はまだそんなことまったく思ってなかったので自分のためですね。そんなふうに、わたしはボカロを通して多少なりとも自分のことを知るツールにしていました。

 

文末が過去形なのは、ボカロは好きなまま追いかけるメインジャンルを他に移してしまって、今の詳しい状況を知らないからです。マジLOVE1000%の襲来は強かった…。それでも今でも好きな曲はずっと胸を打つものがあるし、驚くほど色褪せません。

今ならそんな曲たちを言葉にして紹介できる気がするので、ブログに残しておこうかなと思った次第です。そしてしばらく離れてしまっているけど、お前が好きそうな曲知ってんぞ!という方がいればそっと教えてください。

 

sasakure.UKさん

ささくれさんの曲、どれも好きなので絞るのにめちゃくちゃ迷った…。CDは「トンデモ未来空奏図」までは手元にあります。曲を聴くと「ささくれさんだ!」ってすぐに分かるくらいどの曲も独創的で、世界観がしっかり表現されているのが本当に素敵。オマージュ作品もいくつかあるけど、ストレートに世界観を寄せるんじゃなくて、しっかりささくれさんの作品に染めてつくり上げられています。元の作品の良さを殺さず、むしろその作品があるからささくれさん色に染められた展開が際立つような、そんな曲づくりをされている印象です。この方の描いている曲たちの大きな流れを、わたしでは到底説明し尽くせないのだけれど、別個の曲が実は裏で繋がっていて、ひとつの物語になっていたりする(終末シリーズとか)。曲・歌詞・動画のどれをとっても美しくて、なにか響くものが必ずあるはず。

宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」をモチーフにした曲。歌詞としてはわりと単調なんですが、曲が進行していくにつれてストーリーが動いて、同じ歌詞でも感じるものが変化していくはず。ボカロの声でこんなに切なくなるの、まさにボカロが無個性ながらに個性を生み出す作り手の技だと思う。

 

こちらはささくれさんの曲ですが、ボーカルはボカロではなく土岐麻子さんという歌手の方です。何年経ってもまったく色褪せない曲。動画のモーションや画づくり、歌詞、曲、歌声のすべてにおいて美しい。

「人魚姫」がモチーフになっている曲なんですが、すごく好きな歌詞があります。

“言い訳”が欲しかっただけなの 王子様
奇跡も声も魔法のキスも必要なかった

解ったの
私はこの肢で立たなくちゃ
恋も痛みも全部受け止めて居たいから

広く知られる「人魚姫」にはない展開。その物語の先というか、別ルートというか、これぞささくれさんに染められたストーリー。運命に抗えなかった人魚姫では終わらない、自我を感じるし現代版・人魚姫って感じがしてわたしは好きです。このどんでん返しのような展開は元の作品があってこそ表現できるものですし、それをしっかり土台にして新しい展開にしている創作力がすごい。

そしてもうひとつ、歌詞を見ることで分かるカラクリ。

想いよ
さあ『愛して』ますと叫ぶんだ!

ここの歌詞、耳で聴いているだけだとカッコの位置を「『愛してます』と叫ぶんだ!」に勝手に変換しがちなんですが、「『愛して』ます」なんですよね。人魚姫が叫べなかった本音。現代版・人魚姫になったかと思わせた直後にこのフレーズがくるので、最後まで元祖・人魚姫との繋がりを離さないところも上手い。

このPV制作を担当されたeau.さん(イラストはお馴染みの茶ころさんです)が、制作のことについて書かれている記事を見つけて、ウキウキしながら読ませていただきました。すごく興味深いです。

d.hatena.ne.jp

 

バタフライ効果(バタフライこうか、英: butterfly effect)とは、力学系の状態にわずかな変化を与えると、そのわずかな変化が無かった場合とは、その後の系の状態が大きく異なってしまうという現象。 カオス理論で扱うカオス運動の予測困難性、初期値鋭敏性を意味する標語的、寓意的な表現である。

同じタイトルの映画もあるみたい。疾走感と転調が耳に気持ちよくて好きな曲です。この曲もボーカルはボカロではないのですが、歌い手としても名の知れたちょうちょさんという方がボーカルです。ささくれさんの曲ってゲーム音(ピコピコ音?)が取り入れられているのが特徴的ですが、この曲はそれもなく、でもすごくかっこいい!

そしてこの曲でわたしが好きなフレーズ。

裸足で善かったんだ
歩いてゆけるから

「深海のリトルクライ」もそうだけど、自我を持つ・自立するような歌詞が好きなのかもしれない。

 

ぽわぽわP(椎名もた)さん

ボカロ界隈から離れてもなお、わたしを救い続けてくれているのは間違いなく椎名もたさんの曲です。若くして多くの人が認める才能を持っていらっしゃった方ですが(なんとわたしより年下で、わたしが中学生で彼を知る前から曲をつくって動画を投稿されていた!)、彼が二十歳のときにその短い生涯を終えられて、もう新しい曲を聴くことは叶わなくなってしまいました。CDを買うことの意味も、この方の死を知ったときにはっきりと形を持って教えてくれました。わたしは彼の曲が好きだったので、当時入手できなかったもの以外は都度購入していたのですが、今手元にあるこのCDたちは確実に彼の生きた証です。作品が誰かの手元に残るって、すごく意味のあることだと思います。

あと、椎名もたさんのCDって遊び心に溢れていて、購入した方は分かると思うんですがパッケージに工夫がたっくさん詰まっています。五感で記憶に残る素敵なCDです。特に「夢のまにまに」と「アルターワー・セツナポップ」のパッケージが好きで、CDにたどり着くまでに開封していくことの楽しみをこんなにも盛り込めるということを教えてくれました。この体験がきっかけで、大学の卒業制作でパッケージデザインを題材にしたりと自分の私生活でもたくさん影響をくれた方でした。 

アルターワー・セツナポップ」の方は特に、発売日に開封してあまりにも感動したので、ご本人に感想をツイッターで送らせていただきました。反応はまったく期待していなかったのに、そのリプライをお気に入り登録してくださって、「届いた…!」ってすごく嬉しくなったのを覚えています。あのとき伝えられて良かった。

そして社会人になってからも、音楽を聴くのもしんどいくらいに疲れ果ててしまった時期に唯一聴けたのが椎名もたさんの曲(と、宮野さんのMy World)でした。お別れしてからも、ずーっと寄り添ってくれる曲をたくさん残してくれたことに感謝しています。

夢のまにまに

夢のまにまに

  • アーティスト: 椎名もた
  • 出版社/メーカー: ワンダーグラウンド・ミュージック
  • 発売日: 2012/03/07
  • メディア: CD
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アルターワー・セツナポップ(初回生産限定盤)(DVD付)

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椎名もたさんの曲、どれも大好きですが特に好きなのはこれかなあ…。

どこか浮世離れした雰囲気が素敵。動画は84yenさんという方が制作されていますが、音に合わせて動くのがすごく気持ち良いです。

 

テンポが良くて歩くときによく聴きます。

 

すっごく歌詞が胸に刺さる。

もしも僕が今晩のカレーを
残さず食べたなら良かったのかな
君は酷く顔をしかめて
もうたべなくっていいよって言ったんだっけな。

冒頭からこの歌詞。独白のような言葉が並んだ歌詞になっているのですが、心をぎゅっと掴まれるような、優しくて切ない感覚になる。その正体って、ドンピシャでなくても多くの人は無意識に似た経験をしてきているからだと思うんです。でもあんまり自分にとって気持ち良い感情ではないから、なんとなく目を背けてやり過ごしてきたような出来事を、彼の曲ではきちんと向き合って歌詞に落とし込んでる。だから、聴き手にも絶妙な切なさを自覚させるんだと思います。

もしも僕が生きていたなら。 
君に聴かせるため作った歌 
やっぱ恥ずかしくて聴かせてないけど 
歌ってあげたいな、僕もいつか。

 

とどくといいな、君にいつか。

この歌詞が奇しくも彼がいなくなってしまった今の状態にリンクしてしまうんですよね…。

 

ハチ(米津玄師)さん

今は米津玄師さんとして活躍されています。ボカロP時代も才能の暴力かと思うくらい投稿される動画すべてがセンスに溢れていました。曲だけじゃなく絵や動画もつくれるっていうのがもう…芸術観点においてすごすぎる。

どの曲も好きですが、あえて挙げるなら「恋人のランジェ」と「Persona Alice」かなあ。どちらも曲中にふたりの「わたし」が出てくるのですが、ハチさんの曲で表現される「わたしであるけれど別個のあなた」みたいな感覚が好きでした。

こっちはマウス戦士だった頃の作品。マウスでもすごい。

 

DECO*27さん

ボカロを好きになった人なら絶対に通る道・DECO*27さん。もれなくわたしも好きでした。いち早くボカロ曲を商業CDとして世に出していた記憶があります。新しいことにどんどん先陣を切ってチャレンジされている印象が強いボカロPさん。わたしはDECO*27さんの曲で特徴的な重たい音がすごく好きです。あと、スキップするみたいに軽くて耳に心地良い言葉遊びが歌詞に散りばめられているのも素敵。

ちょっとダークな曲だけどそれがブーブー音(でこさんの重たい音をわたしは勝手にブーブー音と呼んでました)と合っててかっこいい!

一人で出来ないことを探してみたよ
二人じゃなきゃ出来ない何かを

二人で出来ない事がたくさんある
一人で出来る事が多過ぎて

ここの歌詞、道徳で教わるようなことと全く反対で結構ハッとさせられるというか、「こういう感覚もあるのかー!でもたしかに結構一人でできることって多いかも!」って気付かされた。

 

この曲もブーブー音が大好き。うまく説明できないけどずっと好き…。

あとこれも派生作品なんですが、心壊サミットを使ったうたプリのトキヤ・HAYATOMMDがすごい好き…。歌詞にストーリーを当てはめた演出がすごい、魅入る。

 

buzzGさん

DECO*27さんのブーブー音とはまた違いますが、buzzGさんの楽器の重たい音が好きです。歌詞とか抜きで、サウンドだとたぶん自分はこういうのを無意識に好いてるんだと思います。ボカロの歌声も比較的低くて良い。

サウンドがそれはもうかっこよくて大好き!イントロのベースの音が好きです。

あと数秒で離れていく星を見送るなら
例え何千年経っても会えるから そういう話よ

「誰の愛を受けても消えないでしょう」というくらい大切な存在がいて、そのあとに上記の歌詞。何でもないことのように、尊い言葉が紡がれている曲だなと思います。心にじわーっとくる。

 

進路に悩んだときにお世話になった曲「tail light」

この曲の生みの親・クワガタPが就活をしていた頃につくられた曲。わたしはこの動画が投稿された当時、絶賛受験勉強中の進路に悩む受験生でした。

曖昧な理想に縛られて
踏み出す足が震えるなら
そんなもん捨てて歩いたって間違いじゃないよ

結局少し無理をしてプライドを守るよりも、自分が心から行きたいと思った進路を選んだので、このフレーズはすごく心の支えになりました。そして自分が就活生になったときもこれ聴いてたな……。当時受験生として聴いていた自分が、今度は就活生になってまたこの曲に帰ってきた事実。時の流れを実感した曲でもある。

 

原曲→描いてみたの派生文化がおもしろい曲「siGrE」

近代日本の詩人作の詩を借りて歌詞にしたというおもしろい試みの曲です。貼ってある動画は本家ではなくて、派生で生まれた手書きPVバージョンなんですが、完成度が高くて世界観が素敵なのでお気に入りの動画です。これと、あともうひとつ有名な動画があるんですが解釈が全く異なるのもおもしろい。

これを見てからの!?神絵師たちがめちゃくちゃに遊びまくった動画を見て爆笑するまでが流れです。

最後の動画はコメント表示オンにして見ましょう。

 

作業用BGMとしておすすめのアルバム

www5.atwiki.jp

古川本舗さんの「the Great escape from american brutal moshpit soundtrack」というミニアルバムがとてもとても好きで、作業用BGMとして重宝しているアルバムです。というのも、歌っているのがボカロなんですが日本語一切なしで、英語……なのかな…?歌詞カードがなかったので正確な歌詞は不明です。でも英語としても聞き取れないくらいふわふわしているので、作業の邪魔をしない最高の音楽です。何より音楽が良い。古川本舗さんが好きで、あまり中身を知らずに買ったCDだったわりには全曲ハズレなしで良い出会いだったと思う。

でもこのアルバム、同人CDだし今は正式にはどこにも販売されてないようで、クロスフェード動画すら非公開になったのか見つからなかった……。タイトルで検索したら中古販売店では出回ってるみたいですが、正規ルートではもう入手困難っぽいです。

 

動画がすっっっっっっっっごい!

椎名もたさんの「夢のまにまに」PVを制作された84yenさんの動画です。Temporuさんの「sleepy dance」という曲で動画制作をされています。これを初めて見たときは衝撃でした。見てくださいとしか言えないんですが、5:42くらいから怒涛の覚醒があるので見てほしい。文字が映像で踊るから!!!

 

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ボカロ界隈から離れてしまった今でも色褪せずに聴き続けている曲たちを、ざっとですが並べてみました。あんまり数を挙げるとすごーく長くなるので、結構絞りましたけど……。

最近はメジャーデビューされてから名義を変えて音楽活動をしていらっしゃる方も増えましたし、わたしが追いかけていた頃のボカロ界隈の状況とは多少変化はあると思うのですが、ふと、また聴きたいなあと思うときもあります。今のツイッターアカウントはあんまりボカロで繋がったフォロワーさんがいないので、もしこの曲絶対お前好きだぞ!みたいな曲があればそっと教えてください。

お付き合いいただきありがとうございました。